チルドノート

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初体験。奥まで突っ込めなかった夏の日

夏ですね。

夏といえばやはり初体験でしょうか。僕の初体験はちょっと遅くて19歳の夏でした。相手は20歳の短大生、僕はなんの迷いもなく無職でした。

当時の僕は、片想いしてた女の子にフラれて落ち込んでいました。そんなとき身近にいたのが彼女です。正直に告白すると、僕は、彼女に恋愛感情を持っていませんでした。

そして、自分自身の失恋による痛みを忘れるために、彼女を代替え品に利用してしまったのです。しかし、僕は初体験、彼女は経験済でしたので、それほど非難されることではないように思います。

過度な性的描写は避けますが、最初のときは、奥まで入れることが出来ませんでした。奥まで入れてしまうと、彼女を傷つけてしまう…、そんな気がしたのです。そのため、前後動作の最中に何度も抜けてしまい、最後には、お互い顔を見合わせて笑ってしまいました。

結局、その日は、彼女の手の中に、彼女の下着に出してしまいました。その原体験が、のちの性的趣向に大きな影響を与えるとは、知るすべもありませんでした。

若さゆえのあやまち

それから、これも若さゆえですが、毎日求めていました。暇さえあればところ構わず求めてしまう…。僕はそんな自分の精神状態に強い不安を抱いたものです。決して無理強いしたワケではありませんが、お互いにそういう時期だったのでしょう。

はじめて奥まで入ってしまったのは、偶然の出来事でした。その日、僕たちは、狭い空間で窮屈な動作を強いられていました。カベに手を着き体を支えていた僕は、いつものように浅く浅くを意識して同じリズムを刻んでいました。ところが、ふとした拍子にバランスを崩してしまったのです。

その瞬間、意図せず奥まで入ってしまいました。彼女は、声を出すのは耐えてくれましたが、腰を小刻みにガクガクと震わせたため、僕はそのまま中に全部だしてしまったのです。その強烈な絶頂感に、僕の意識はしばらく飛んでしまいました。

われに返り、急いで抜いたときには、もう手遅れでした。あらかた出尽くしていました。真夏の校舎は空調が切られ、個室のトイレの中には気だるい熱気がこもっていました。僕と彼女の隙間から、床に落ちる液体がやけに透明だったのを鮮明に覚えています。

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photo by Capture The Uncapturable

別れのとき

それから僕たちは、都合2年ほど穏やかな交際を続けました。そのあいだに何度も結婚の話しも出ましたが直前までいっては躊躇し、結局、実現することなく別々の人生を歩むことになりました。

不思議なことに、僕たちに別れの辛さはありませんでした。結局、別れを決めたその日まで肌を重ねてしまい、最後は、思い出の校舎でオレンジ色の夕日を見つめながら交わったのです。

もしもあのとき結婚していれば、今とはまったく違った人生になったのでしょう。すべては自分が選択した結果です。

生きていると、さまざまな出会いと別れがあります。総人口からすれば、ひとりの人間が他人と関わる人数というのは、砂浜のひと握りにも満たないのです。

そう考えるようになって、僕は、ずいぶん楽になりました。受け入れる強さみたいなものが備わったように感じます。