読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

チルドノート

短編小説やグーグル先生に叱られたコンテンツを保管しています。

忍び寄る老いの恐怖

いらっしゃい。元気?

ひとって老いていくよね。僕も、もれなく老いていく。振り返れば、はるか遠く故郷が見える。

ところが、遠くがよく見えるようになると、今度は近くがダメになるんだよ。これには、なにか哲学的な因縁を感じないかな。


僕もとうとう、床にはわせたコード(3センチ弱)に、つま先がガッツリ食い込んでしまった。足元がお留守になって、今まで、一度も引っかからなかった段差につまずいてしまったんだよ。

ヒザが上がってない。上げたつもりの足が、ぜんぜん上がってない。だから引っかかちゃう。つま先。

大人が子供の運動会ですっ転ぶのも、同じ原理なんだよ。頭でイメージした通りに体が動いてない。

動き出した足が、十分に上がり切るその前に、体が前進してしまう。そして段差に、憎き段差に、つま先が突っ込んでしまう。

これ、自分の老いも実感するけど、それ以上に「こんなところに段差あった」ってところにも驚く。

おまえ、いつそこに居たんだっていう、空気みたいな存在が、とつぜん立体的になって、実像をもってあらわれる。

地面にしゃがんで、まじまじと見ると、やっぱ段差なんだよ。過去に、何百、何千とまたいできたきた、ちっぽけで取るに足らないコード。

それが今、凶暴な面構えで、人類に脅威を与えている。僕の暮らしを静かに脅かしている。